ハッピーエンダー
「私のためにそこまでさせたら、私は生きていられません。でも水樹さんは、きっとする。私たちもう、一緒にいたらダメなんです」
「……ごめん、じゃあしない。ほかの方法を考えるから。そんなこと言うなよ」
私は首を横に振り、握った両手に力を入れる。
「するつもりだったじゃないですか。私に秘密にして。だから、もう無理なんです。この関係が怖くなりました」
私が本気だとわかった水樹さんは眉を寄せ、「待てよ」と焦った声を出した。
「俺は……光莉と離れたくない。光莉のそばが一番落ち着く」
手を握られたが、すり抜けるようにして離し、拒絶する。
「私のバイト先を紹介します。店長は学生のいろんな事情に理解があるので、お母さんの件も助けてくれると思います。今までも生活が苦しい学生バイトにお金を貸したりしていた人です。引っ越し費用の前借りとかも……」
「光莉。俺と付き合ってよ」