君のカンパネラ
次の日の朝、私は図書館に来ていた。

私は朝礼の前、図書館に寄って1人で漫画を静かに読むのが日課だった。

この時間、図書館には私以外誰もいない。

好きなBL本を読むにはいい場所と時間だった。

家で読んで家族にバレたら母親が大騒ぎするし、学校でバレたらそれはそれで大変だ。

なので、朝誰もいない図書館で読むのがベストだった。


昨日、夏菜と一緒に買った漫画を楽しく読んでいた。


うわ、この本結構過激だな、私はもっとピュアなやつが好きかも、なんて考えながら男同士の濡れ場シーンを見ていた。

すると


「へー、お前こんなの読むんだ」


驚いた。

私は背後に人がいるのに気付かなかった。

耳はいい方だった。

人が近づけばすぐ気づくはず。

でも今日は違った。

聴いたことのない声だった。

深みがあって透き通るような低音ボイス。

振り返ると、見たことのない派手な男が立っていた。
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