君のカンパネラ
「て、おい、無視かよ。
今朝の漫画なんだけど、、」
「ちょ、待ってください!」
私はその男が漫画のことを言おうとした瞬間、男の腕を掴み教室の外まで連れ出した。
「あの漫画のこと、言わないでください。
バレたくないんです」
「え?そーなの?
別にバレてもよくね?」
「よくない、よくないです。
とにかく黙っててください」
「はいよー」
この人、ノー天気だ。
教室に帰ってくるとすぐに、その人は他のクラスメイトに囲まれていた。
私は耳がいい。
そのクラスメイトが話す言葉が耳に入ってくる。
「海斗、咲良さんと知り合いなの?」
「あー、あのガリガリ女、咲良っていうの?
知り合いっつうか、今朝図書館で会った」
「あの子かわいそうだよな。
あんなに痩せちゃって。
昔は活躍してたのにな」
「へ?そーなの?」
「お前、咲良さんのこと知らないの?」
まただ。
かわいそうっていうワード。
いつも耳にする。
私はかわいそうな子だ。
にしても、この海斗って人、私のこと知らないのか。
珍しい。
昔はそこそこ有名だったし、転校したばかりの時学校内で噂されたから、ほとんどの人が知ってるのかと思った。
そこまで聞いたところで、先生が教室に入ってきた。