溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情
未来へ
「うわぁー…」
豪華絢爛なロビーはさすがVIP御用達のホテルだ。
雰囲気に圧倒され、足が止まってしまう。
「お客様?」
スタッフに声を掛けられ、我にかえった。
「大丈夫ですか?」
「あ、はい、大丈夫です。大丈夫なんですけど」
出張でこんな高級なところに泊まる意味が分からない。
金銭感覚のすり合わせはこれからも必要になるのかもしれないと思いつつ、このレベルが湊さんの生活レベルなのだと一度自分の中に落とし込み、背筋をピンと伸ばす。
このくらいのことで腰が引けていては到底、湊さんとの未来はない。
視線を前に向け、フロントまで進み、スタッフに声を掛ける。
「約束をしている信楽です。吉池さんはご到着されていますか?」
聞くもスタッフの方には首を左右に振られてしまった。
それもそうか。
約束の時間まで1時間ある。
「ご案内します」
ラウンジへ案内してもらい、アイスミルクティーを注文した。
飲み物が届くまでの間、高級感漂う調度品に目を向ける。
すると壁に掛けられていた一枚の絵に目が留まった。
「すみません、あの絵は?」
スタッフに訊ねるとシャガールの本物の絵画だと教えてくれた。