溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情
話を聞いて湊さんの方を向くとやはりまだ険しい表情のまま。
「湊さん!」
呼ぶと湊さんはこちらを見た。
「食は大事だって話しましたよね?体が資本だって。大事にしてください。湊さんが倒れたりしたら困る人はたくさんいます。悲しむ人だっているんですから!」
「すまない。だが俺は絵麻が離れている間に最悪の結論を出すんじゃないかって怖かったんだ。だからとにかく早く帰国して気持ちをつなぎ留めておきたかった」
中途半端な状態で離れてしまったからそう思うのは無理ないし、覚悟を決めていなかったのはたしかだから信じて欲しかったとも言えない。
でももう決めて来た。
「覚悟はして来ましたから。だから、あ!すみません」
スタッフの方を呼び、アフタヌーンティーと紅茶のセットを二人分注文し、席に腰掛けてもらえるよう促す。
「しっかり食べてください。永井さんも」
「ですが二人分と」
永井さんは気を使って席を外そうとしたらしい。
でも違う。
「私は機内で食べています。永井さんは湊さんと同じように食べていませんよね?」
「どうして」
永井さんは不思議そうな顔をするけど、湊さんに対する態度を見ていれば上司が食べずに仕事しているのに、自分だけ食べるような方ではないということくらい簡単に分かる。