溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情
「リビングを出て右側が浴室と洗面所、その隣がトイレで、その向かいが寝室だ。今日からここで寝て貰う」
「それだと吉池さんはどこで寝るんですか?」
ドアを開け、荷物を運び入れようとしている吉池さんの背中に聞くと、彼は振り返り、怪訝そうな顔をして言った。
「同じ部屋だが?」
「え?」
言われて部屋の中を覗くとダブル、もしくはクイーンサイズのベッドが見えた。
「大丈夫だ」
ベッドを見て固まる私に吉池さんは淡々と言う。
「仕事で遅くなるときは和室で寝る。きみの睡眠の邪魔はしない」
「そういう問題じゃなくて…それなら私が和室で寝ます」
そうさせて欲しいと暗に願い出るも吉池さんの首は縦に動かず、キャリーバッグを室内へと運び入れた。
「結婚したら一緒に寝るようになるんだ。寝相とかの問題があるとしたら事前に把握しておかなきゃいけないだろ?」
「そうかもしれないですけど」
さすがにいきなり同じベッドで寝るというのには抵抗がある。