溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情
言い終えるなり、急いで調理に取り掛かる。
思い付きなので食材はあり合わせのものになってしまうけど、吉池さんが事前に冷蔵庫にたくさん食材を詰めてくれていたおかげでさほど困らない。
必要な食材を取り出し、オーブンを予熱、それからたまねぎをみじん切りにしてひき肉と炒め、調味料を加えて、お湯で戻した春雨やホウレンソウなどの野菜を加え、食パンに乗せる。
それを折りたたんで閉じ、サラダ油を刷毛で塗ってからオーブンで焼く。
「いい匂いだ」
身支度を終えた吉池さんがキッチンに入ってきた。
「食パンで作ったピロシキです。具がしっかり入っているので見た目より満足感があると思います」
「へえ。すごいな。きみは本当にいいお嫁さんになりそうだ」
褒められたことが嬉しくてつい口元が緩む。
でもそれに気づかれまいと時計に目を向けた。
「あの。まだお時間大丈夫ですか?もう少し冷ました方がいいんですけど」
「大丈夫だ。それに俺からも渡したいものがある」
そう言うと吉池さんは小さな紙袋を差し出してきた。
「なんですか?」
受け取ると、吉池さんが「開けてみて」と言った。
中身は……
「わぁー綺麗」