溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情


「なにか私に出来ることがあればおっしゃってください」

「ありがとう。じゃあ」


吉池さんは腕時計を見て言った。


「そろそろ出る時間だ。それ、包んでもらえるか?」

「あ、はい。今すぐ」


適度に冷めたピロシキをホイルで包む。

でもそれを入れる袋がないことに気が付いて困っていると、吉池さんはそのまま鞄の中に入れた。


「今度は弁当箱とそれが入る袋を買って来ないといけないな」

「それなら今日、買い出しのついでに買ってきます。伊賀組紐のお店も見てみたいですし。吉池さんはお仕事頑張ってくださいね」


そう言って送り出すと、吉池さんはニコリと微笑んでから出掛けていった。

吉池さんの笑顔ひとつで胸が暖かくなり、口元が緩む。

鼻歌を歌いながら掃除を済ませてお弁当箱と伊賀組紐目当てでショッピングモールへと足を運ぶことにした。

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