溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情
「どう思う?」
一旦、お店から出て母に助けを求めた。
すると、ちょうどベリーヒルズビレッジがまたテレビで紹介されていて、父と私のことを話していたところだと言う。
「『絵麻は金銭感覚の違いで苦労するかもしれないな』ってお父さんが言っていたの。その通りになったわね」
母はそう言うと「ちょっと待って」と言ってからお弁当箱のことを父に伝え、それから代わった。
「絵麻。ごめんな」
いきなり謝られて驚いた。
「なんでお父さんが謝るの?」
「吉池くんのところと同じくらい裕福だったら金銭感覚の違いで悩んだりしないのに。甲斐性なくてごめんな」
「そんな……!お父さんが謝ることじゃないよ。私、お金で不自由したことないし、大学まで出させてもらって、お父さんには感謝してるよ?」
ちゃんと本音で言うも父の声は暗い。
「でも今、金銭感覚の違いで悩んでいるんだろう?彼は地位のある社長だから下手なもの買えないもんな」
「それはどういう意味?」
よく分からなくて聞くと父は唐突に想像してみろと言い出した。
「絵麻がここで弁当箱を買うの諦めてタッパーにしたとしよう。それを見た社員はどう感じると思う?」