溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情

『今日は社長がお弁当を持参してる!しかもお弁当箱は普通のタッパーだって』

そう言って陰で笑っている顔が想像できた。

『なんで安物?』『なんで急にお弁当持参?』『まさか!会社の経営が危ないとか?!』『それとも恋人が出来た?』『相手は?』『どこの誰?』『社にプラスになるような縁談?それとも……』


「そっか。なるほど。ダメだね、私は考えが足りなくて」


吉池さんがお弁当ひとつ持つことでこんなに話題が膨らむとは思わなかった。

吉池さんはそれだけ人の目に触れる人なのだ。

そこを把握していないといくら良かれと思ったことでも、吉池さんにはマイナスになってしまう。


「吉池さんに相応しいお弁当箱にしなきゃいけないね。それと私も」


『あれが社長の恋人?似合わない』って言われないように、吉池さんのそばにいたいなら、外見、言動に気を付けないと。


「ありがとう、お父さん。私、意識変えて頑張る」

「へ?」


父の素っ頓狂な声が耳に届いた。

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