溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情
まさかの答えに言葉に詰まる。

でも聞いておいてよかった。


『取り返しの付かなくなる前に』


父の言葉を頭の中で思い浮かべながら努めていつも通りのトーンで話す。


「私は子供が好きです。結婚相手を探していたのは子供が欲しいからなんです」


家庭の事情と、子供が好きでない人と結婚は出来ない、ということはあえて口にしなかった。

それでも吉池さんには十分通じると思ったから。


「なるほどな」


ほら、やっぱり分かってくれた。

その上で繋がれた手を離そうと手を開く。


「でも」


吉池さんの言葉と同時に離そうとした手がギュッと握り締められた。


「子供が欲しければ俺の子を産めばいいんじゃないか?それじゃダメなのか?」

「え?だって子供は好きじゃないって……」


吉池さんを見上げると、困ったように眉根を寄せた。


「やっぱり、好きじゃないんですよね?」


もう一度確認するようにして聞くと、吉池さんはしっかりと頷いた。


「だが自分の子、しかも愛する人との間に出来た子となれば違うだろ」

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