溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情
白の膝丈までのザックリとしたワンピースにベージュのベストを重ね、黒のショートブーツに合わせるように選んだ黒のショルダーバッグ。
悪くはないはずだけど、高級感はなく、この地にも、高級なスーツを身につけている吉池さんの隣にも相応しくない気がして、玄関を出る時には軽かったはずの足取りがとても重く感じられる。
「待たせた」
俯くようにして待っていたから声を掛けられるまで吉池さんが近付いて来ていたことに気がつかなかった。
「あ、お疲れ様です」
「どうした?顔色があまり良くないように見えるが。具合悪いか?」
心配そうな顔で覗き込まれて、首を横に振る。
「いえ。大丈夫です。行きましょう」
努めて笑顔で応え、吉池さんの隣に立つ。
でもショーウィンドウに映った私たちの姿を目にして、並んで歩くのは憚れた。
だから吉池さんの後ろを付かず離れず歩いていると、吉池さんが振り返った。
「なぜ後ろを歩く?歩くのが早かったか?」
「いえ。私が遅いだけなので。でもちゃんとついて行きます。迷子にはなりませんから、大丈夫です」
悪くはないはずだけど、高級感はなく、この地にも、高級なスーツを身につけている吉池さんの隣にも相応しくない気がして、玄関を出る時には軽かったはずの足取りがとても重く感じられる。
「待たせた」
俯くようにして待っていたから声を掛けられるまで吉池さんが近付いて来ていたことに気がつかなかった。
「あ、お疲れ様です」
「どうした?顔色があまり良くないように見えるが。具合悪いか?」
心配そうな顔で覗き込まれて、首を横に振る。
「いえ。大丈夫です。行きましょう」
努めて笑顔で応え、吉池さんの隣に立つ。
でもショーウィンドウに映った私たちの姿を目にして、並んで歩くのは憚れた。
だから吉池さんの後ろを付かず離れず歩いていると、吉池さんが振り返った。
「なぜ後ろを歩く?歩くのが早かったか?」
「いえ。私が遅いだけなので。でもちゃんとついて行きます。迷子にはなりませんから、大丈夫です」