溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情
「吉池様ぁー!いつもご利用ありがとうございますぅ。今日はどのような品をお探しですか?」
店の裏手から私たちと同じくらいの年齢の男性が現れた。
艶のあるサラサラの黒髪に切れ長の瞳、女性顔負けの綺麗な白肌は着物がとても似合い、あまりに上品な出立は臆してしまうほどだ。
でも吉池さんは至極冷静に言う。
「水島。「様」呼びはやめてくれと言っているだろう。あとその言葉使いも。普通に気持ち悪い」
嫌悪感をあからさまに表す吉池さんに水島さんは膨れっ面で対抗した。
綺麗な顔に似つかわしくない顔が可笑しくて口元が緩んでしまう。
でも、初対面で、しかも人の顔を笑うのは失礼なことなので顔を背けると、吉池さんが彼を紹介してくれた。
「彼は水島柚。ここの店主兼代々続く伝統ある呉服店の息子だ」
「オフィスビル上層階のVIPラウンジで開かれる異業種交流会で知り合ってね。それから仲良くさせてもらっているんだよ、ねー?」
水島さんは吉池さんの肩に腕を回しながら同意を求めた。
にもかかわらず吉池さんは無反応で、ハラハラしてしまう。
でも塩対応はいつものことのようで水島さんは気にも留めず、視線をこちらに寄越した。
「それで?吉池。こちらは?」
「あぁ。彼女は」
吉池さんが私のことを紹介しようとしている。
恋人なんて紹介されて、吉池さんと不釣り合いだと思われたくなくて、まして同棲してる、なんて言われて色々勘繰られるのも嫌で、急いで自ら名乗り出る。