溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情


「え?彼女、僕に紹介してくれるために連れて来てくれたんじゃないの?この前キーホルダー買いに来た時、『誰かいい子いたら紹介してくれよ』って話したばかりだよな?まさか忘れたとか?!」

「あぁ。その話なら忘れてはいない。が、彼女は俺のだから」


ハッキリと言われると恥ずかしくて、立場なくて俯いていると水島さんの気怠い声が降って来た。


「なんだよー。今日は吉池ひとりで来るものだと思っていたのに女の子連れて来たから、てっきり紹介してくれるのかとばかり。ていうか、もしかしてあのキーホルダー渡した相手ってこの子?」

「そうだ」

「そうだ…って、お前がカギ渡すのなんて初めてだろ?なんだよ、もう結婚間近か?あ!そしたら今日、用意して欲しい、って連絡してきた訪問着。あれは両家の挨拶用か?なんだよ。仕事のパーティーで使うとか言っておきながら実はそういうことかよ。騙されたし、先越されたよ、まったく。でもめでたいことだもんな。おめでとう!とびきり素敵なの用意したから。待っててね、絵麻ちゃん」


水島さんは一気に喋ると、最後は私に向かってウインクして奥へと入っていった。

老舗の呉服店の店主がよく喋る、明るく気さくな方であることに驚きを隠せない。

でも今はそれより気になることが。

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