溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情
「あの、訪問着ってなんですか?挨拶用って?」
「挨拶用は水島の勘違いだ。仕事に使うって言っていただろう?訪問着は今度のパーティーで着てもらいたいんだ。女性のドレスコードが着物だから」
たしかパーティーのゲストは海外の方だと言っていた。
日本人だって着ることも、髪を結うことも難しいのに、着物をドレスコードに指定するなんて、よほど着物が好きか、郷に入れば郷に従え精神か。
どちらにしろたしかに仕事で着物が必要なようだ。
でもそれなら実家にあるのを使えばいい話で、わざわざ水島さんに頼み、用意してもらっている意味はなんだろう。
まさか一度きりのパーティーのために着物を新調しようとしているとか?
だとしたらそれは無駄遣い以外のなにものでもない。
それとも一見で高価だと思えるような着物でないと私は吉池さんの隣に立つのに相応しくないと思われているのだろうか……。
「あのっ」
「お待たせ」