飼い犬は猛犬でした。


 だけど、彼の目を見ると……なんとも言えない気持ちになって、すぐに目を逸らして、人混みの中から出た。



 昨日の彼の言葉。


 あれは今のわたしへの言葉じゃない事は分かってる。


 でも、思い出して恥ずかしくなる。


 

 一瞬だけ、彼と視線がぶつかった瞬間、心臓がドキリと高鳴ったような気がした。


 あんなたくさんの女の子に囲まれてる彼にとって、今のわたしなんて眼中にないのだろうけど……。

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