飼い犬は猛犬でした。


 * * *



 そんなモヤモヤを抱えたままバイト先に足を運ぶと、既に彼は店に来ていたようで……


 ――やっぱり、こうもイケメンだと絵になるなぁ。


 夕日を眺めながらコーヒーを飲むその姿は、モデルさんと言われても頷けるほど絵になる。

 きっとこの瞬間を見たい女の子は山ほどいるんだろうなぁ……



「来てくれて……ありがとう」


 夕日を眺めていた彼にそっと声を掛けると、彼は驚いたように目を見開く。
 
 そのまま硬直して動かない彼を不思議そうに見ると、ハッと驚いたように口をパクパクさせ始めた。

「すんません……ちょっと思ったよりヤバくて」
「やばい……?」


 わたしの頭の中を?が埋め尽くし始めたころ、彼は顔を真っ赤にして口を開いた。


「反則っす……可愛すぎ……っ」


 顔を隠すように手を覆ってるけど、彼の顔は間違いなく真っ赤だった。


 この人……冗談でもからかってる訳でもなく、本当にわたしのこと……?


 そんな、でも……


「わたしなんかのどこがいいの……」


 聞こえないように小さく呟いた疑問は彼に届いてしまっていたみたいで、彼は真っ直ぐとわたしの方を向いて口を開いた。


「俺の一等星だから」


「誰よりも、何よりもキラキラ光ってて……眩しいっす……ってこんな恥ずかしい事言ってすみません!」


「えっ……あ、ううん……ありがとう……」


 なんだか聞いてるこっちが恥ずかしくなってくる……そんなふうに言われたことはなかったから。

 一等星だって……そんなにキラキラしてるかな……?


 わたしからしてみれば、龍ヶ崎くんのほうがキラキラしてて眩しいよ……

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