飼い犬は猛犬でした。

　お互い俯いて、無言の時間が続いた。
　けど、その沈黙を破ったのは涼輔くんだった。

「どうやったら俺と付き合って貰えるんすか……」


　さっきまでの恥ずかしがったりニコニコしたりの表情とは打って変わって、切なくて悲しい表情で問いかけてきた。、

「涼輔くん、ごめんなさい……わたしじゃ無理」

　そう伝え終えると、何故か胸がキュッと締め付けられるように痛んだ。


　涼輔くんの酷く傷ついた表情を見たからじゃない。きっとわたしの本心じゃないからだ……


「俺、諦めなくていいですか。……ずっと片思いで構わないんで、好きでいさせてください」


　どうしてこんなわたしをそんなにも好きでいてくれるの？　わたし、涼輔くんに言えない秘密があるんだよ？　これは本当のわたしじゃないんだよ……

　わたし、そんなに好きだって言われたら……本当に好きになってしまいそう。