飼い犬は猛犬でした。
「きっと後悔するよ……? それでもいいの?」
「それでも嫌いになれないんすよ、俺は……」
何か言いたげな表情で涼輔くんは黙り込んでしまった。
「どういうこと……何かあっ「先輩! こっちヘルプお願いします!」
涼輔くんの言葉の続きを聞こうとしたところで、後輩ちゃんからの呼び出しがかかった。
「あっ……ごめんなさい、行かなきゃ……」
「あ、俺コンビニ行くって言って出てきたんで……そろそろ帰んないと、おふくろに怒られそうっす!」
さっきの、今にも泣きそうなほど悲しげな表情を押し殺すかのように、笑って見せた涼輔くん。
わたしは言葉を失ったまま涼輔くんの後ろ姿を見送った。