飼い犬は猛犬でした。


「……なんて、すると思っ……――ッ?!」


 もう、分からない……何なの、この無の時間……
 キスされるかも、なんて自意識過剰だった? 冷静になったら、そんな訳ないのに……わたし、なんて勘違いを……


「あの……ごめんなさ…………んっ!」



 目を開いて謝ると、それを遮るように涼輔くんの唇がわたしの唇へと重なった。



 どうしよう、もう頭の中パンクしそう。
 なんで……なんでキスしてるの……

 誰でも良いのかなって、振り払わなきゃって思うのに……抵抗できない。



 こんなの、辛いはずなのにやめてほしくない。
 わたし、涼輔くんの事好き……なのかな。


 この時間がすごく長く感じる。
 どうしていいのか分からない、このままでいいわけないっていうのは分かってるのに。



 それなのに、どうしようもないほどに……わたしは涼輔くんから離れたくないみたいで……。

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