飼い犬は猛犬でした。

 今日……? キスするつもり無かった……? 何の話をしてるの……どういうこと……?


「どういうこと……?」
「……だから、昼間はあんな無責任にキスして、本当にすみませんでした」

 頭を下げて謝る涼輔くん、わたしはまだ思考が追いついていない。

 もしかして、最初から全部メイドのわたしが学校では冴えないガリ勉だと気付いてたの……?


「学校で……わたしって分かってキスしたの……?」
「そんなん当たり前じゃないっすか……好きな人っすよ……? 分からない訳ないじゃないですか」

 じゃあ、人混みかき分けて目が合ったあの時も、転んだ時手を差し伸べてくれた時も、キスのあの時も……全部、全部わたしって分かってたって事……?

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