飼い犬は猛犬でした。



 出来上がった苺のパフェを運んでいる最中、事件は起こった。



 ガシャン!


「ゴラァ! ちゃんと謝れ言うとんじゃ!!」


 お皿の割れる音と共に、怒声が聞こえてくる。

 思わず声のした方を向くと、坊主頭にサングラスといういかにも、な人と後輩ちゃんが……。


 後輩ちゃんは震えて声にならない声で「ご、ごめんなさ……い」と呟く。




「申し訳ございません、どうされたのですか?」


 わたしが駆け寄ると、ニヤニヤと笑いながら金髪の男が口を開いた


「あのさぁ、髪の毛入ってたんだけどさぁ。ここのオムライスは髪の毛トッピングされとんの?」


 そう言いながら、金色の髪の毛を持ち上げ、見せてきた。



 そんな訳ない……ここの従業員に金髪の人はいない。もちろん厨房にも……。

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