飼い犬は猛犬でした。


 * * *


「はぁ、今日も授業だるかったね〜」
「イオは授業中に寝すぎだよ、今日だけで何回怒られてたの……」
「いいのいいの! 今日は何食べよっかなぁ」

 そう言いながら食堂のメニューを見ながら顎に手を添えるイオ。

 そんなイオを横目に見ていると、2人の人影が目に入った。


「……!」

 その2人は仲良さげに腕を組んで歩いている。
 そう、涼輔くんと例の女の子。


 女の子の方は意外にも三つ編みにメガネをかけた、The優等生という見た目で、学食という大衆の面前で腕を組むようにはとても見えない。

 呆気に取られて見ていると、涼輔くんはこちらに気付いたようで、向かって来た。


「あ、あの……コンニチハ」

 半分カタコトになりながら挨拶するその姿に思わず笑みが零れそうになる。
 でも、その隣にはわたしの知らない女の子……


「……ッ!!!」

 わたしの隣で腰を抜かしたイオ。
 そうだ、涼輔くんに突然話しかけられたらこうなって当然か……

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