飼い犬は猛犬でした。



「最近……佐々木さんとはどう……?」


 口を付いて出た言葉に後悔が溢れ出た。
 自分から辛い思いをしに行くようなこと……馬鹿だ、わたし……。


 その問かけに、涼輔くんは驚いたように目を見開いた。

 そうだよね、わたしが2人が付き合ってること知ってるとは思ってなかった……?
 やっぱり気まずい……よね。

「先輩、それ……「真行寺!」


 涼輔くんが何か言いかけた時、後ろから呼びかけられ振り返ると、クラスメイトの有馬くんがいた。


「……どしたの?」
「先生が呼んでた。俺ら日直だろ?」

 タイミング的には良かった。
 自分から聞いておいてなんだけど、涼輔くんの言葉を聞くのが怖かったから。


 わたしは逃げるようにその場を後にした。




「なぁ、一緒にいたのって……女子から人気がすげー1年生だっけ?」
「え……うん、凄いよね……」
「真行寺もそういうの興味あるんだな……意外。キャーキャー言わなさそうだと思ってた」
「わたしは……そんなんじゃないよ……」



 ――じゃあ、わたしは涼輔くんにとって、何なんだろう……


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