飼い犬は猛犬でした。
「申し訳ございませんでした……!」
わたしが深々と頭を下げる様子をニヤニヤと笑いながら眺める3人の男。
「もちろん、お代は取らんよなぁ? てか、慰謝料払ってくれるん?」
――やっぱり、この人達はただわたし達に言いがかりをつけて面白がってるだけなんだ……。
「大変申し訳ございませんが、それは出来ません」
わたしが男達の目を見てハッキリそう伝えると、サングラスの男は勢いよく立ち上がった。
「は?」
「お代は取りません。ですがお金をお渡しする事はできません」
「ははは! ……自分の立場分かってんのか?」
そしてサングラス男はわたしの手を強く掴んだ。
「外で話そうや」
「……ッ!」
「……! 先輩!!」
「大丈夫……だから、仕事に戻って」
わたしは強引に手を引かれながら、後輩ちゃんに微笑む。