飼い犬は猛犬でした。
「いや、違うの……これは!」
イオが慌てて撤回しようとするも、なんと有馬くんはわたしの肩を掴んでわたしを抱き寄せた。
「本当だよ、なんか悪いのかよ」
「……別に悪いなんて言ってねぇっすよ。ただ気になったから聞いてみただけっす」
……涼輔くん、怒ってる……?
涼輔くんの声は若干怒りや苛立ちを含んでいるように聞こえる。
「涼輔くんだって……わたし、佐々木さんと付き合うことになったなんて聞いてない」
わたしはそれだけ言い残すと、有馬くんの腕から離れ、食堂を後にした。