飼い犬は猛犬でした。

 どうしよう、これから彼女が出来た事を改めて言われるのかな?
 もう泣きそう……涼輔くんはわたしの気持ちなんて知らずに……


 校舎と校舎の影で、涼輔くんはわたしを校舎の壁へ追いやり、そっと口を開いた。


「先輩、俺……」


 ――その先を聞くのが怖い。
 

「大丈夫……! 分かってる……」
「何が分かってんすか、全然何も分かってねぇッスよ!」

 強く目を閉じて言葉を遮ると、涼輔くんは少し強めの口調でわたしの言葉を遮り返した。

 初めて涼輔くんに強い口調で返され、わたしの肩は少し跳ねる。
 
 やっぱり……怒ってる……


「あ……すみません。怖がらせたい訳じゃないんすよ……」
「うん……」
「ただ、ちゃんと話、聞いて欲しくて」

 真剣な表情で見つめられると、もう逃げられないと悟るしか無かった。

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