飼い犬は猛犬でした。
「涼輔くん……酷いこと言ったり、避けたりして……本当に、ごめんなさい」
「先輩に嫌われたと思ってました、俺……もうどうすりゃいいか分かんなくて。クラスの奴に告白されたとか聞いた時は、そっち行っちゃうんじゃねーかって……気が気じゃ無かったんすよ……?」
眉を下げて、寂しそうに呟いた涼輔くんに罪悪感が更に増す。
「ごめん……もし良かったらこれからも変わらずお店に来たり……してほしい」
「……それだけっすか……?」
涼輔くんは声を震わせながらそう言った。
「俺は……どうすればいいんすか……。先輩、あの人と付き合うんですか?」
「そんなの、涼輔くんに言ってどうするの……まだ分からないよ……」
目を逸らして言い終えると、涼輔くんはわたしの頬を両手で挟む。