飼い犬は猛犬でした。
夢みたい。涼輔くんと……キス、してる。
それに、わたしは涼輔くんの事を諦めなくてよかった。
こんな幸せなこと、あってもいいの……?
幸せな時間がずっと続けばいいのに……――。そんな願いは、授業予鈴のチャイムが鳴り砕かれる。
「涼輔くん、授業……遅刻しちゃう」
「まだ、もう少し……先輩のこと独り占めさせてください」
涼輔くんは、まだ足りないと言わんばかりにわたしの唇へと自分の唇を重ねてくる。
こんな事されたら……もう、何も考えられなくなる……ダメになってしまいそう。
「涼輔くん……ま、待って……っ!」
もう、これ以上はダメだ。そう頭を過り、離れようと試みるも、涼輔くんは強くわたしを抱きしめた。
「ヤダっすよ……せっかくずっと好きだった人とこういう風になれたんです。そんな簡単に離しませんよ……」
涼輔くんはわたしの耳元でそう囁いた後、熱を含んだ目で見つめる。
――この色気……どこから出てきてるの……っ! わんちゃんみたいだと思ってたのに……全然違う……