飼い犬は猛犬でした。
「誰か探してるんか?」
「おい、失礼だろ。先輩だそ。……どうかしましたか?」
グイグイと近付いてくる男子を制しながら優しげに微笑んでくれた。
「あの、涼輔く……龍ケ崎くんを探してて……」
「なーんだ、涼輔目当てだってよ」
「涼輔なら……あれ?」
優しい方の男子は涼輔くんを探して当たりを見渡している。
「オマエ、よく見たら可愛いーな!」
そして、謎の男子はグイグイとわたしへと近付いてくる。
……可愛い? 1年生にはわたしなんかより可愛い子山ほど居るでしょ?!
「あの……」
目と鼻の先という表現か1番正しいくらいの距離まで近付かれ、さすがにわたしは壁の方へと一歩下がる。
そんなわたしをお構い無しに、また一歩近付いてくる。
何、この人……距離感が……