飼い犬は猛犬でした。
もう無理、そう思った瞬間……
「おい! お前なにやってんだよ!」
聞き慣れた声が聞こえてきて、私は顔を上げる。
息を切らしながらこちらへと向かってくる涼輔くん。
目の前で立ち止まり、わたしを強引に抱き寄せた。
「この先輩俺のだから手出すなよ」
しかめっ面で堂々と2人に宣言する涼輔くん。なんだか子供みたいで可愛い。
「驚いたな……涼輔って女に興味あったんだね」
優しい方の人は目を見開き、わたしと涼輔くんの事を交互に見ながらそう呟いた。
「確かにあんな大勢から言い寄られて告られてるっつーのに、興味ナシだったもんな!」
「うるせーよお前ら……」
涼輔くんは顔を真っ赤にしてそう言い捨てた。
「えっと……お2人は涼輔くんの友達なの……?」
「ああ、この生意気な奴が廣谷蓮翔、んでこいつが響颯太っす」
廣谷くんと響くん、か……。