飼い犬は猛犬でした。
付き合ってることは……出来れば内緒にしてほしい。って、そんなのずるいかな……?
わたしは強くないから、あんな風に囲まれたり叩かれたり……そんなのは耐えられない。
もちろん、涼輔くんに迷惑や心配もかけたくないから。
「……。お前ら、この事誰にも言うなよ」
わたしの表情で察したのか、涼輔くんは二人を睨みつけて釘をさしてくれた。
「……分かったよ」
響くんは、何か言いたそうにしている廣谷くんの口元を抑えながらそう言った。
「先輩、帰りましょう」
わたしにしか聞こえない声で囁くと、涼輔くんは少し前を歩き出した。