飼い犬は猛犬でした。
「他の男が寄り付かないかマジで心配なんで、毎朝学校の近くまでは送らせてくださいね?」
「そんなに心配しなくても……わたしに寄り付く人なんていないよ」
はははと苦笑いしながらそう言うと、涼輔くんはまたムッとした。
「先輩、自分の可愛さにそろそろ気付いてくださいよ、そーじゃないと安心できねぇ……」
涼輔くんはそう言うと、わたしの唇にそっとキスをした。
「ちょ、涼輔くん……ここ外……っ」
わたしの声は聞こえていないのか、涼輔くんはそのままわたしの首筋へとキスをする。
「いっ……、ちょっと……」
ピリッとした痛みが走る。
何、これ……
「ちゃぁんと自覚してくださいよ? 俺の彼女だって。」
「分かってるよ……なんか、首筋痛い……」
「虫じゃないっすか? 最近暑いっすから」
そっか……
モヤモヤした気持ちのまま、涼輔くんと家までの道を歩く。
「送ってくれてありがとう」
「じゃあ、また明日の朝会いましょうね」
「うん、また明日ね」
控えめに手を振ると、涼輔くんは嬉しそうにガッツポーズをしてみせた。
ふふ、やっぱり犬みたいで可愛いな……