飼い犬は猛犬でした。


 * * *


 いつものように朝が来た。
 だけど今日からは……


 涼輔くんと一緒だ。


 少しの期待を込めてドアの外に出ると、そこにはもう涼輔くんの姿が。


「おはようございます!」
「おはよう。いつから待ってたの? ごめんね、気付かなくて……」


 申し訳ないと謝ると、涼輔くんは「気にしなくていいっすよ」と言い、ニカッと微笑んだ。

「そういえば、涼輔くんのお家ってここから遠いの……?」
「あー、そんなでもないっすよ。歩いて十分くらいっすかね」
「わざわざここまで来るの大変じゃない……?」
「十分歩いて好きな人に会えるなら全然苦じゃないっすね」

 涼輔くんはチラリとこちらを見て即答した。
 そんなストレートに言われると……照れる暇もないというか……

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