飼い犬は猛犬でした。
その彼は、勢い良くサングラス男の顔面を殴り飛ばした。
一瞬の事で何が起こったか分からなかったわたしは、ただ呆然とその光景を見続けることしか出来なかった。
「この人、俺の好きな人なんで……手ェ出さないでくださいよ?」
彼はそう言って、サングラス男を突き飛ばした。
――だ、誰……?
好きな人? え……?
「……え? お、おい!」
金髪と赤髪が倒れて伸びたサングラス男に駆け寄った時
彼は手を優しくとった。
「逃げるっすよ!」
そしてイタズラっぽく、だけど優しく微笑んだ。