飼い犬は猛犬でした。


 * * *


 あの後、特に何も無く放課後の時間になる。
 昨日の公園で待ち合わせをしていたのでそこへ向かうと、すでに涼輔くんが待っていた。

 響くんとのこと……黙っておいた方がいい、よね……?
 特になにかされた訳じゃないし、そう思われても当たり前なんだし……

「そういえば今日これからバイトがあるんだよね……だから今日はここで少し話したらバイトに行くね」
「俺、バイト先まで送りますよ。特にする事ねぇし……一緒にいたいんで」
「あ、ありがとう……」

 一緒にいたい……その言葉に少し安心した。
 わたしも、涼輔くんとはずっと一緒にいたいって思っていたから。気持ちが同じだって分かって、なんだか嬉しい……

 でも、涼輔くんは少し不満そうな表情をしていた。

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