飼い犬は猛犬でした。


 * * *


「何だか最近暇ですよねぇー……」
「そうだね、お客さんもあまり来ないもんね……」

 後輩ちゃんとそんな事を駄弁りながら時間を潰していると、丁度良いタイミングで入店音が鳴った。


「おかえりなさい。ご主人様さ、ま……」


 入口に立っていたのは、涼輔くんと響くん。その姿を見るなり、言葉に詰まって固まってしまう。
 予想もしてなかった来客に言葉を失っていると、それを察した後輩ちゃんが2人を席まで案内してくれた。

 涼輔くんは申し訳ない、と言いたげにこちらを向いて両手を合わせた。

 一体何があってこの2人がここに……?


 もしかして……響くんは何か企んでるの?
 でも待って、涼輔くんはわたしがここで働いていることなんて言わないと思うけど……偶然って訳でもないだろうし……


 わたしはどう出ればいいんだろう……

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