勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「けど、相手の親父さんは反対してんだろ?」




「じじい達が今回の縁談にやたらこだわってて、



強引に話を進めてくるんだよ。



それで、婚約破棄を前提につきあうことになったんだよ」




「婚約破棄を前提にって、めちゃくちゃだな。



けど、いつもみたいに冷たく突き放せば、



すぐに破談になるだろ」




「……あぶなっかしくくて、突き放せねえよ」




思わずグチる。




「は? どういう意味だよ」




「そいつが色々ヤバすぎんだよ……」




「そいつって、誰のことだよ」




「高3の見合い相手。



見てるとヒヤヒヤして気が気じゃないんだよ。



ひとを疑うってことを知らないし。



いろいろ無自覚で騙されそうだし、すぐにコケるし」




「……つまり、気に入ってんだ?」




 探るように、にやりと笑った琉人に視線を尖らせる。




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