勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「九条さんの愛犬のコタロウくん。



ものすごく可愛いの。



コタロウ君と同列には、扱ってもらえてると思う」




すると、あきれ顔の花江ちゃん。




「……あのね、彩梅はそのひとの愛犬に



なりたいわけじゃないんでしょ?」




「う、うん。あの、



コタロウくんはすごく可愛いんだけどね!」




「そういうことじゃなくて!」




「そもそも、



コタロウってことはオスなんでしょ、その犬」




「う、うん」




……そこ?




「とにかくさ、彩梅はその人がいいんでしょ? 



それじゃ、頑張らなきゃ!」




「そうだよ、せっかく好きな人ができたんだから!」




みんなの言葉に背中を押されて、



励ましてもらったものの、



どうやって頑張ったらいいんだろう……




「とりあえず、九条さんに連絡してみたら?」




真希ちゃんにスマホを渡され、



画面を見つめたまま5分が経過。





九条さんの困った顔を想像しては指先が止まり、



結局メッセージを送れないままお昼休みは終わってしまった。




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