勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「ねえ、その制服、女学院だよね。



オープンキャンパス? ひとりで来たの? 



迷ってるなら俺が案内してあげよっか?」




突然あらわれた見知らぬそのひとに驚いて、



「ひゅっ」と息をのんだその瞬間。




「悪い、この子、俺の連れ」




うしろからぎゅっと抱きつれて、



飛び上がった。




「あ、九条先輩! さーせんっ!」




「……っ!!」




く、九条さん⁈




くるりと振り向き、飛び上がる。




「ど、ど、ど、どうしたんですか⁈」




九条さんの手、手、手が肩に乗ってるし!




背中とか、いろいろ触れてるし!




「それは、こっちのセリフだよ。



彩梅はこんなところで、なにしてんだよ?



つうか、



ほかの男に近づくなって言っただろ!」




深いため息が頭上で落ちて、



顔を上げなくても九条さんの不機嫌さが伝わってくる。




「彩梅」




名前をよばれて、おそるおそる顔をあげると、



険しい顔をしてイラ立ちあらわの九条さん。




……やっぱり、怒っていらっしゃる。




「で、彩梅はなんでこんなところに?」




そして、尋問スタート。




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