勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「彩梅、もしだれかに声かけられたら、



知り合いを待ってるって言うんだぞ?」




「は、はい」




「いいか、知らないヤツには絶対についていくなよ? 



連絡先の交換とか、絶対にダメだからな? 



友達が戻ってきて家に帰るときは、



必ず俺に一言メッセージ入れろよ? 分かったか?」





「……はい、わかりました。お父さん」




すると、むにっと頬っぺたをつままれて、



九条のキレイな瞳が寄せられて。



ううっ、顔、熱い……!




「だれがお父さんだって?」




「……九条さん、ちょっと痛いです」




「ん、怒ってるからね?」




久しぶりに会えたのに、



なんで私はこんな変顔を披露してるんだろう?




「すぐに戻ってくるから、いいコにしてろよ」




柔らかな笑顔でくしゃっと頭をなでられて、



心臓の音がトクトク、トクトク全身に響く。




小走りで友達のところに戻った九条さんは、



慌ただしく校舎のなかに消えていった。



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