勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「だって九条さん、



九条家とは関係なく経営の話、好きですよね?」




「どうしてそんなことを……?」




「お見合いのときに、



お父さん達と仕事の話をしている九条さんが、



すごく生き生きとしてて楽しそうだったから。



形だけ話を合わせる、というよりは、



楽しくて仕方ないって雰囲気でびっくりしたんです。



私なんてホント退屈で、



鹿威しの音が綺麗だなーとか、



よく手入れされた坪庭だなーとか、



そんなことばっかり考えてたから」




「あとは、お腹空いたなーとか?」




「……まだ言いますか?」




ちらり睨みつけると、



オレンジ色の柔らかな笑顔がかえってくる。




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