勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「実際さ、九条くんが選ぶ相手って



どんなひとなんだろうね?」




「めっちゃ足が綺麗な子とか、好きそうじゃない?」




「帰国子女で英語もフランス語もぺらぺら、とかね」




「とりあえず、女子高生はない!」




高い笑い声が電車に響いて、ぎゅうっと胃が痛くなる。




「家のために結婚しなきゃいけないなんて、



九条くんも大変だよね~」




「私も九条くんを縛り付けて、



自分のモノにできるくらいの家柄に生まれたかったなー」




「ほんと、それ」




耳をふさぐこともできず、



キュッと唇をかんで下を向く。




だって、あの人たちの言ってることすべてが



間違ってるとは、思えない。





西園寺家と九条家が対等な関係ではないことくらい、



私にも分かる。




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