勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「彩梅、どうした?」
花江ちゃんが、うらやましい。
九条さんと同じ大学に通える女の人が、うらやましい。
九条家とか西園寺家とか家柄に関係なく、
九条さんと出会えるひとがうらやましい。
こんなの、ただのわがままだって分かってる。
駄々をこねてるだけで、
欲しい答えがもらえないことも分かってるの。
でも、足かせになってしまうような関係ではなくて、
普通に出会って、
九条さんと笑い合いたかった。
じっと地面を見つめていると、
九条さんの両手に抱えこまれて、
ぽんぽんと九条さんの手のひらが
背中で跳ねる。
「どうした、彩梅。
今日はなんだかおかしいよな。
なにかあったのか?」
九条さんの腕のなかで、
ぎゅっと唇をかみしめる。
「言いたくなかったら言わなくていいし。
吐き出して楽になるなら、聞くし」
九条さんが優しすぎて辛い。
こんなに優しくされたら、
離れることなんて出来なくなっちゃうよ。
「……か?」
「え?」
「わがままばかり言ってるから、
私のこと、嫌いになりましたか?」
「嫌いになるはずないだろ。
ぐずってる彩梅も可愛いよ」
ぐずってる……?
「私、子供じゃないです!」
「わかってるよ」
九条さんはくすくすと余裕の笑顔で、
いつまでたっても私は子供扱いされてばかり。
「じゃあな、彩梅」
遠く離れていく九条さんの背中に、
胸の奥がぎゅっと痛んだ。
花江ちゃんが、うらやましい。
九条さんと同じ大学に通える女の人が、うらやましい。
九条家とか西園寺家とか家柄に関係なく、
九条さんと出会えるひとがうらやましい。
こんなの、ただのわがままだって分かってる。
駄々をこねてるだけで、
欲しい答えがもらえないことも分かってるの。
でも、足かせになってしまうような関係ではなくて、
普通に出会って、
九条さんと笑い合いたかった。
じっと地面を見つめていると、
九条さんの両手に抱えこまれて、
ぽんぽんと九条さんの手のひらが
背中で跳ねる。
「どうした、彩梅。
今日はなんだかおかしいよな。
なにかあったのか?」
九条さんの腕のなかで、
ぎゅっと唇をかみしめる。
「言いたくなかったら言わなくていいし。
吐き出して楽になるなら、聞くし」
九条さんが優しすぎて辛い。
こんなに優しくされたら、
離れることなんて出来なくなっちゃうよ。
「……か?」
「え?」
「わがままばかり言ってるから、
私のこと、嫌いになりましたか?」
「嫌いになるはずないだろ。
ぐずってる彩梅も可愛いよ」
ぐずってる……?
「私、子供じゃないです!」
「わかってるよ」
九条さんはくすくすと余裕の笑顔で、
いつまでたっても私は子供扱いされてばかり。
「じゃあな、彩梅」
遠く離れていく九条さんの背中に、
胸の奥がぎゅっと痛んだ。