勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
帰りの車のなかでは涙をこらえて



流れていく景色をぼんやりと眺めていた。



「彩梅、内部試験、頑張れよ」



ぽんぽんと私の頭をなでた九条さんの顔は、



もう見ることができなかった。



頭のなかは真っ白で、



なにがなんだかわからなかった。





その夜、



お父さんから婚約が白紙になったことを告げられた。




どうして急に婚約破棄が決まったのか、



いくら聞いても教えてはもらえなかった。



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