勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
それぞれの場所で。
その日から
九条さんと眠る前に話すこともなくなった。
学校帰りに待ち合わせをすることも、
突然迎えに来てくれた九条さんに驚くこともなくなった。
毎日の生活のなかから、
九条さんの姿だけが消えてしまった。
なんども九条さんに連絡をしようとした。
九条さんの大学にも、こっそり行った。
でも九条さんの困り切った顔を想像すると怖くて、
逃げるように帰ってきた。
最後に会った日の九条さんはすごく落ち着いていて、
婚約が破棄されたことを
静かに受け止めているようにも見えた。
もしかしたら婚約破棄が決まって、
九条さんはどこかホッとしていたのかもしれない。
やっぱり九条さんにとって、
私は足かせでしかなかったのかな……
考えれば考えるほど苦しくて悲しくて、
それなのに、このさき他のだれかを
九条さん以上に好きになれるとは、とても思えなくて。
眠れない夜を重ねて、
気持ちの整理がつかないまま
内部進学の試験を終えて、学部が決まった。
時折アメリカにいるお姉ちゃんから連絡があった。
心は空っぽなまま時間だけが過ぎていき、
なにを見ても涙が浮かび、
夜には声を殺して泣いて、
やがて涙も出なくなった。
九条さんと会えなくなって、
世界から色が消えた気がした。
九条さんと眠る前に話すこともなくなった。
学校帰りに待ち合わせをすることも、
突然迎えに来てくれた九条さんに驚くこともなくなった。
毎日の生活のなかから、
九条さんの姿だけが消えてしまった。
なんども九条さんに連絡をしようとした。
九条さんの大学にも、こっそり行った。
でも九条さんの困り切った顔を想像すると怖くて、
逃げるように帰ってきた。
最後に会った日の九条さんはすごく落ち着いていて、
婚約が破棄されたことを
静かに受け止めているようにも見えた。
もしかしたら婚約破棄が決まって、
九条さんはどこかホッとしていたのかもしれない。
やっぱり九条さんにとって、
私は足かせでしかなかったのかな……
考えれば考えるほど苦しくて悲しくて、
それなのに、このさき他のだれかを
九条さん以上に好きになれるとは、とても思えなくて。
眠れない夜を重ねて、
気持ちの整理がつかないまま
内部進学の試験を終えて、学部が決まった。
時折アメリカにいるお姉ちゃんから連絡があった。
心は空っぽなまま時間だけが過ぎていき、
なにを見ても涙が浮かび、
夜には声を殺して泣いて、
やがて涙も出なくなった。
九条さんと会えなくなって、
世界から色が消えた気がした。