勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「あ、あの、どうしてお見合いのこと、



知ってるんですか? 



それに、私の家って……」




「見合いは、彩梅のお父さんから聞いたんだよ」




「うちの、お父さんが?」




どうして、うちのお父さんが九条さんにお見合いのことを⁈




「それから、ここは俺が彩梅のために用意した家」




……え?




「彩梅と一緒に住むために、



俺が自分で用意した家なんだよ」




「一緒に……住むため?」




「この半年、彩梅を迎えに行くために、



いろいろ準備してたんだよ。



家だけじゃない、親父の会社で仕事も始めた。



自分の会社も本格的に軌道にのせた」




「自分の会社……?」




どうしよう、九条さんの話に全然ついていけない。




なにがなんだか、分からない……




「学生で親に食わせてもらってる立場で、



結婚なんて生意気なこと言えないだろ。



だから、この半年、



彩梅のことを迎えにいけるように必死に準備してた。



九条家としてじゃない。



俺個人として、彩梅のことを迎えにいくためだよ」




「で、でも、婚約は破棄されたって」




九条さんに手を引かれてソファに座ると、



九条さんがまっすぐに私を見つめる。




「彩梅に話してないことがある」




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