勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「……あの、九条さんは、私に会いたいと、



思っていてくれたんですか?」




どうしよう。



心臓が、破れちゃいそうなくらいにドキドキしてる……




「それも、伝わってなかった?」




「私は九条さんにとって足かせとか、



重荷でしかないんだろうなって、ずっと思ってたから」




「彩梅のことを、重荷だなんて思ったことは一度もない。



じじいに言われて彩梅に会いに行ったのは、



最初だけだよ。



俺の意志で彩梅に会いに行ってた」




「九条さんに相手にしてもらえるなんて、



思ってなかった……」




震える声で訴える。




いつも私ばかりが好きで辛かった。



すると、柔らかく笑う九条さんに抱き寄せられて、



ふわっと九条さんの香りにつつまれる。



「あのさ」




「はい」




「キスしていい?」




「え?」




次の瞬間、九条さんの唇が私の唇に……触れた。




「……っ‼」




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