勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
九条さんの腕に手を添えて、



太鼓橋のまんなかで足をとめる。




「九条さんは生まれ変わりとか、信じますか?」




「どうだろうな。



万里さんと小梅さんの話を聞くと、



そうなのかなとも思うし。



でも、俺はきっと世界のどこかにいる



彩梅のことを見つけてたと思う」




「私も、九条さんのことをきっと見つけていたと思います」




見つめ合い、絡み合う視線は



穏やかに春の光に溶けていく。




「でも、もし生まれ変われるなら、



私はまた九条さんに会いたい」




「俺も、また彩梅に会いに行くよ」




九条さんと笑顔を交わすと、柔らかな風に包まれる。




「万里さんと小梅さんも、



この日本庭園を一緒に散歩してたんだってな」




九条さんを見つけたときの事を思い出す。




運命だとしても、偶然だとしても、



九条さんの隣にいられるこの奇跡を大切にしたい。




すると、いたずらに笑う九条さんが私の顔をのぞきこむ。




「小梅さんも、この橋の上で、すっ転んでたのかな?」




「へ?」




「それを万里さんが支えてたりして」




「ええっ⁈ 小梅さんはしっかりしてたと思いますよ?」




「そうだよな、こんなところで転ぶのなんて、彩梅くらいだよな」



む、むう。



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