勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「彩梅なら見合いで結婚しなくったって、


いくらでも出会いがあるだろ?」




「母も祖母もお見合いで結婚しているし、


西園寺の家が選んだ方なら間違えないと思うので」




笑顔で答えると、九条さんは黙ってしまった。




「んん! このてんぷら、美味しい!」




サクサクのてんぷらがとっても美味しくて、


幸せだな~と思っていると、


九条さんと視線がぶつかって、慌てて目をそらす。





ううっ。





じいっと見つめられて、顔が熱くてたまらない。





「つうか、ホントに可愛いな」




もう心臓潰れちゃうよ。




そこで、おずおずと九条さんに伝えてみる。




「あ、あの、社交辞令だって分かってるんですけど。



さ、さすがに、ちょっと恥ずかしいというか、



ドキドキしすぎて息が苦しくなっちゃうので、



あんまり、その可愛いとか、……言わないで、もらえると……」





「こんなこと普段はコタロウにしか言わないよ」





そう言って九条さんは柔らかく笑っているけれど。




「コタロウ?」




……って、だれだろう?



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